2023年9月3日日曜日

金融資産3,000万程度では「Fire」は難しい

 金融資産3,000万円なり考えるのが、「Fire」である。
 我が国は、「国民皆保険皆年金」という社会保障制度敷いている。私のような、企業に勤務する会社員は、当然、毎月の給与から社会保険料が天引きされている。
 病気になれば、健康保険で3割負担で病院での治療が可能である。そして、65歳から老齢年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金)が支給される。
 もし、Fireをしてしまったらどうなるのか考える。
 日本では、サイドFireをFireとしているようである。
 サイドFireは、一般的に「1日の労働時間が8時間でなく、6時間程度であり、週の労働時間が週2日から3日程度で、貯金の一部を原資にして投資運用益で生活する。」という考えである。

そこで、私自身がFireしたことを考えて書いてみます。
会社を退職して、フルタイム労働でない、勤務日数が週3日、週18時間程度の社会保険の加入義務がない、「アルバイトの非正規労働者」になって「サイドFire」を開始したとします。

 私は54歳の実家住まいの独身男である。
 すなわち、退職するとは、「社会保険を脱退するので、当然、健康保険・厚生年金被保険者の資格を喪失する。」その直後に、国民健康保険・国民年金被保険者の変更手続きをしなければならい。
 実際に、社会保険の被保険者の資格を喪失すると、社会保険者(組合または協会)から、在籍期間中までの保険料が天引きされる。そして、次に国民健康保険・国民年金から、一年分の保険料の請求書が届くことになる。
 特に、国民健康保険料は、会社員時代の年収を基準に保険料を算出して請求が来るため、保険料の負担が高い。また、保険料は、会社勤務の時は、社会保険の被保険者であるため、半分の保険料の負担で済んでいいた。
 しかし、「アルバイトの非正規労働者」は、国民健康保険・国民年金の被保険者になるため、「国民健康保険・国民年金保険は、保険料を全額負担しなければならない。」という法律で決まっている。
 Fireしても、Fireする前の「社会保険制度が継続する。」という考えでFireしてしまうと、「Fireを開始した途端に、月の負担がFire時代より高くなる。」という厳しい現実が訪れてしまう。
 そして、もっと大変なのが「労働」である。
 日本の国は、正規労働・非正規労働という区分が厳しい国になってしまっている。
 正規労働者であれば、1日8時間・週5日の労働で、「期間の定めのない労働契約・完全週休二日・祝祭日お休み・有給休暇20日」という福利厚生、労働基準法等の法律による雇用の安定が保障されている。
 しかし、Fireした場合は、「非正規労働でアルバイト」なので、雇用期間中のみ、法律による雇用の安定が保障されている。よって、正規雇用者に比較して、福利厚生も脆弱であり、不安定な生活を強いられてしまう。
 もっとも怖いのが、「Fireで多くの利益を占める資産運用の失敗」である。
 現在は、株式市場が安定かつ、インデックス指数が非常に高い「珍事」が継続している。
 しかしながら、10年前の「2013年の日経平均株価チャート」を見ると「2009年に出現したリーマンショック・2011年の東日本震災の傷が癒えて、アベノミクスが始まったばかりであった。」ため、株価も低く(現在の日経平均と比較して、3分の1から2分の1)、非常に不安定な市場であった。
 今後5年以内に、10年前の厳しい市場が到来したら、「Fire」は非常に危険であると思う。

 危険要素として、

 ①株価が低くなり、運用利益がマイナスとなる。
 ②運用益がマイナスなので、労働に力を入れる考えに戻る。
 ③厳しい不況が始まる。不況が原因で、生活苦に拍車がかかり、アルバイトを複数掛け持ちして労働するようになる。
 ④健康を害する確率が高くなる。よって、医療費の負担が増大する。
 ⑤正規労働者時代より、労働時間が長くなるが収入は著しく低い(いわゆる、ワーキングプア状態)。
 ⑥雇用が不安定な状態で生活しなければならない。
 ⑦家庭生活も不安定になる。
 ⑧辛いことが多くなり、精神衛生上よくない。

 結果的に、「フルタイム労働から解放されて悠々自適に生活しようとしたら、会社を辞めなかった方が、悠々自適に暮らせていた。」という、「Fireをして後悔する。」という悲劇的なことになってしまう。


 このことから、「正規労働者」のままであれば、不況でも、「期間の定めのない労働契約・完全週休二日・祝祭日お休み・有給休暇20日」という福利厚生は、保障されていると考えるので、「無暗にFire」をするのは良くないと思った。