2010年5月30日日曜日

日本ではipadが大反響だがHP Slateの動向に注目です。

 自分は「ipad」を見たときに「HP Slate」の存在が頭をよぎります「ipadを産んだAppleが革命児」なら「HPは狡猾に動向を捉える貴公子」の様な雰囲気がある


HP(Hewlett-Packard)の動きが実は今一番の注目と言える、HPは既にWindows7・Flash搭載のタブレットPC「Slate」を発表しているが衝撃なのはスマートフォンで一世風靡をした「Palm」を買収したことに尽きる「1」

 HPの歴史は計測器からスタートする、この会社の特徴は「狡猾な経営手法」である、常に時代の最先端の№2の位置にいて力を温存して、いつの間に業界TOPに躍り出て盤石な位置を獲得するという事業戦略である

 1990年代世界は「UNIX」で席巻する、スタンダード端末はPCでなくワークステーションである、その当時のワークステーションはIBM・SUN・DECが君臨していた、先ずDECがVAXに拘りすぎて陥落を始める

 IBMはPC/AT機でMSと手を握りワークステーションでなくPCをワークステーション並の機能の搭載化に躍起になっていた、SUNはスパークを発表し世界一位の座を狙っていて一瞬の期間だが世界1位の覇王まであと一息に迫るまで成長した。
「2」

 その渦中にHPは「中堅のワークステーションメーカーのアポロ」を買収する、突如としてワークステーションの業界に殴り込みIBMと手を組みSUNを追い撃ちに掛かる「HP-UXとHP9000」で「UNIX戦争」を巻き起こす主人公になる
「3」

 90年代初期の「UNIX戦争」
「4」は95年のWindows95が出現したハイテクの転換期までの前哨戦的な出来事と言える「UNIX戦争がもたらした結果は、DECの衰退・SUNのハードウェア事業(スパーク)縮小・HPが初めてコンピューターメーカとして躍進し世界的に認知された」という結果となる。

 DECとSUNは衰退する引金を引いたことになる、SUNは「Java」というミドルウェアの販売とサーバービジネスでしか活路を見いだせず2009年にはオラクルの傘下となる。
「5」DECは二度と立ち直れないほど失速しコンパックにPC部門を吸収され21世紀を迎える事が出来なくなった。

 IBMはMS(Microsoft)と手を組み「MSはWindows95」を発表しPC/AT互換機から転換しPCの王者へと駆け上がるがHPはPCにも触手を伸すことになる、初動のHPは「UNIX」で成功を収めたワークステーションを応用したサーバーとプリンタの販売へ着目し当初は現在のPC販売は積極的に行っておらず「インターネットに必要不可欠なサーバと周辺器機のプリンタ」の販売に力をいれた。

 サーバー販売でIBMと競争することになる、HPはプリンタを先ず世界シェア1位になるためエプソン・キャノンを攻略し始める、そしてPCはPC/AT機の格安販売で当時は新興であったCompaq(コンパック)が崩壊寸前でPC事業に活路を見いだしていたDECを引受けこの世から消滅させた、そしてPCの価格競争の覇権を握りIBMに挑むまで成長し躍進する事になる
「6」

 コンパックはIBMとPC戦争を展開する、コンパックの後方支援を展開していたのがHPである、その勢いはIBMをPC販売から撤退させるきっかけを与えたと言われている。
「7」

 そして世界はIBM対HPという構図が産まれる、PCはコンパック対DELLと台湾メーカーのASUSの三つ巴の戦いが展開される、コンパックもDELLとASUSの価格競争に苦戦しつつあると予測されたときに

 HPはコンパックと2002年に電撃的な合併を果たし「2010年現在はPC販売台数世界一の座」を手に入れることになる
「8」、IBMはPC販売の道を捨て「サーバービジネスとビジネスソリューション」というコンピュータービジネスコンサルティングサービス事業に力を入れることになる

 2010年現在でコンピューター分野の盟主の座を賭けてIBM対HPの戦いは続いている「HPの凄さは変遷の激しいコンピュータメーカーの中で生残りPCでもワークステーションでも世界一の盟主となり、コンピュータメーカーの盟主の座をIBMと本格的に戦っている」という事である
「9」

 計測器メーカーが僅か10数年で世界の盟主に変貌したという事である、つまり「Apple」が10年でMSの時価総額を抜いたのも衝撃であるが「HPという企業が10数年でPC・ワークステーションの2つの分野の盟主」になった事の方が遙かに凄い

 2010年は Apple 対 HP 中心のハイテク戦争で良いと思う、現在Appleを黙らせることが出来るのがHPであり、MSも巻返しを図れるのはHPの力を頼らなければ生きていくことは不可能な状態まで厳しいと思われる

 HPは真剣に未着手のモバイル・タブレットPC分野に宣戦布告をする可能性が高いと思われる、MSはHPの動向にも配慮しなければならないことになる「HPがPalmを買収したことはWindowsを利用せずとも戦える準備がある」という事を世界が認識した事であり
「10」、デスクトップ・ノート型PCはWindows7でタブレット・モバイル型PCは「Garnet OS(旧 Palm OS)」を中心に発表するという考えもできる。
 
 もしかしたら「Garnet OS(旧 Palm OS)」+「Windows Mobile」を融合した戦略もあると思われるが、狡猾なHPは「Garnet OS(旧 Palm OS)」を全面に押し出しつつ最終的に「Windows7」を融合させたものをMSと共同で発売してくる可能性も見える、MSはHPに対して最大限の譲歩をしたOSを発表せざるを得ない状況となる思われる。


※注釈 リンク先

「1」【HP、パーム買収の狙いはOS技術(2010.05.06)


「2」【SUN(サンマイクロシステムズ)(Wikipedia)


「3」【HP 9000(Wikipedia)


「4」【UNIX戦争(Wikipedia)


「5」【Oracle、Sunを買収(2009.04.20)


「6」【コンパック(Wikipedia)


「7」【IBMのPC事業、Lenovoへの売却が正式決定(2004.12.08)


「8」【HP,Compaqの合併による製品統合の指針が明らかに(2002.05.08)


「9」【HPがサーバ売上高でIBM抜く Gartner調査(2010.05.24)


「10」【マイクロソフトのモバイル事業がさらなる苦境に?(2010.05.07)


※HP Slateが出現したときに「ipad」はHP SlatのセパレートPCという認識がなされる可能性が高い、HPの事業戦略というのは「時間を掛けて入り込みコンピューター世界市場でシェア1位を獲得する」という経営戦略は凄いと思う。